ACTってなーに?|小学校編


小学校で実施されるACTは中学校と同様に、わたし(自分自身)と、あなた(他者)と、みんな(グループ・クラス=社会)と向き合う、コミュニケーションをテーマとする芸術体験を通じたワークを実施します。小学校での3回は生きていくことの根幹となる、感覚・感性・表現をめぐる学びの下地をつくりたいと考えています。


初回となる5年生は進級を控えた3月に感覚と感性について。

同じ風景を見る・聞くと言っても、みんなが同じものに気づいているとは限りません。だからまずは感覚を研ぎ澄まして聞くということをします。さらに同じ音を聞いたとしても、そこから何を感じたり、思ったり、考えたりするのかも、人それぞれです。ここではこれを感性と呼びたいと思います。感覚と感性。みんなそれぞれ違うのだから、自分のそれを大切に。そうすることで友達の感覚と感性も尊重することができます。


6年生の1回目は秋に。

嬉しい時の気持ちを絵で表現してみます。

思い出した気持ちからどんな雰囲気や色を思い浮かべるのか。それも感性。それを抽象画というメディア上に「表に現して」みる。表現は生まれながら誰しもしていること。

お腹が空いた赤ちゃんは泣きます。誰だって嬉しいときはニッコリします。辛い時に誰かに向ける、子どものいつもと少し違う表情。それも表現です。表現はみんなに必要なもの。だから恐れたり、めんどくさがったりしちゃいけません。

伝わりやすい表現、効率的なコミュニケーションというものはあるかも知れませんが、それが上手くできないからしない、ではないのです。


「困難だからやろうとしないのではない。やろうとしないから困難になるのだ(ローマ時代の哲学者 セネカ)」


上手くいかなくたっていい。みんな遠慮なく表現をしてみよう。そして、他者の表現を受け入れてみよう。


6年生の2回目は卒業を控えた3月に実施。グループで相談をしながら仮説を立て、スパゲッティの建築物を作ります。仮設的現場であえてもろい共同体を作った上で「上手くいくか分からないけど、まずはやってみよう」という体験をします。


ここでは紆余曲折のプロセスそのものが作品の生成に見立てられます。

共同作業ができるようになるプログラムを与えるのでも、また目標を達成するための労働に還元されるのでもない、プロセスそのものに価値が与えられた、自分たちの意思によって、自分たちだけの答えを探りながら見つけようとするワークです。


これを小学校ACTの最終回とすると同時に、中学校でのACTの導入としたいと思います。なお、このような子どもの間(場)で発生するインタラクション(相互関係性)をテーマしたワークは、中学2年の2月、3年の9月でも実施されます。


小学校で実施される3つのワークの概要

■ 5年生①「耳をすますとわかること」

キーワード:感覚と感性

日常の中にふと立ち止まり、

これまで聞き慣れた「音の風景」に耳をすましてみる。

ふだんは気づかなかった音がある、美しい音がある。

それを自分はどう感じるのか。

自分が聞いた音は他の人にも「当たり前」に

聞こえていたのだろうか。

あなたは、みんなは、何が聞こえたのだろう。

そして、何を感じたのだろう。


■ 6年生①「うれしいってどんな色?」

キーワード:感情と表現

嬉しかった時のことを思い出して、

それを抽象画にしてみよう。

感情って自分の心で感じたこと。

それはあなただけのものだし、

目に見えないものを表現するのだから、

どう描いても構わない。

だって、抽象表現は写実表現と違って、

似せるべき正解はないのだから。

自由って楽しいよね。

でも、自由ってなかなかたいへんよね。

ところで、友達の「自由な表現」を見て、

あなたはどんなことを感じる?


■ 6年生②「マシュマロ・チャレンジ」

キーワード:相談と試行錯誤

4人1組になって、パスタで構造するタワーを建てよう。

まずはグループで10分間の作戦会議。

どういう構造だと建ちやすいだろう。

どうしたら強度や安定性は保てるかな。

その後、合図でスタート。

失敗したらやり直し。

タワーの頂上にマシュマロを乗せた状態がゴール。

何センチのタワーができるかな。

やったことがないものは、

やってみないと分からない。

楽しみながらトライアンドエラーを体験しよう。


いずれもアクティブ、ポジティブ、クリエイティブな時間にしたいと思います。

まなびとくらし

まなびとくらしは、様々なアート体験を通じて、子どもの「いきていくチカラ」を育むNPO法人です。

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